2012年12月2日日曜日

「重力ピエロ」

森淳一監督「重力ピエロ」
伊坂幸太郎が自画自賛するミステリー。
といってもミステリー要素は少なく、家族の絆をメインテーマにした兄弟のお話。
わりと原作通りに話は展開されます。原作では時系列の整理が大変でしたが映像化されたことにより混乱せずストーリーを追うことができます。
そして映画をみて気づいたことが、この冒頭と終焉におけるシンメトリー性です。冒頭のセリフを幕切れで使うことは映画ではよくあることですが、それだけでなく、父の「二人で遊んできたのか」や夏子、そしてガンジーなどすべてが対になって最後登場していることで、伊坂幸太郎の奥深さを改めて実感しました。これも遺伝子構造とかけてるのかな。
加瀬亮の冴えない大学院生の演技は、私も大学院生なので痛いほど伝わりました。ただ夏子を演じた吉高由里子、もう少し首尾一貫した演技をみせて欲しかっです。しかし総じて映画単体として評価しても素晴らしく、伊坂幸太郎の世界を味わうには十分すぎる作品だと思います。

最後にタイトルの意味であるお気に入りのセリフを。

「楽しそうに生きてれば、地球の重力なんてなくなる」
「その通り。わたしやあなたは、そのうち宙に浮かぶ」


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