主演は「ノーカントリー」で冷鬼の殺人者を演じたハビエル・バルデムで、彼も同年アカデミー男優賞にノミネート(因みに「ノーカントリー」にて受賞済み)されてます。因みに彼の妻はペネロペ・クルスだったりします。
「余命2ヶ月の父親」と書くと涙誘うセカチューものをイメージしますが、全く違います。セカチューの様な淡い色調の背景とは真逆に、黒くとにかく重いです、この映画。職種・人種・性・国・身分など様々な”壁”がこの世には存在しますが、今作品でそれらが如実に表現されています。
メキシコ映画ですが、舞台はスペインはバルセロナです。サグラダファミリアを臨む都市がこんな状況だとは…無知な自分が恥ずかしくなりました。それを知るだけでもこの映画は見る価値あると思います。
「Biutiful」という単語は、誤字です。しかしその誤字にこそ父親としての愛の形と、生き方が垣間見えます。様々な犠牲と、子供への愛への注ぎ方、さらに余命いくばくも無い彼を取り巻く周囲の環境に注目です。
この作品の音楽は「バベル」にてアカデミー作曲賞を取ったグスターボ・サンタオラヤが担当してます。
また、今作品はカメラワークが秀逸です。焦点のあて方、人や鳥、車の撮影の仕方にかなりの拘りがあり、儚く、さらに揺れ動く環境を上手に表現していると思いました。